死神たちのレイゾンデイト
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死神たちのレイゾンデイト

冬織透真

プロローグでお腹一杯。その後は……。

2016年7月26日
最後まで読みましたが、前作に引き続きこの作家さん作品にはいまいち魅力を感じません。こういうものを描きたかったんだなというのは伝わってくるし、それが描けてないとも思わないのですが、最後まで淡々と読めてしまうというか。
細かいところまで絵が丁寧だったり、死ぬ人の気持ちにスポットを充てたお話に挑戦されてることとか、良いところもあるのですが、これが限界だったのか?もうちょっと魅力的に描けなかったのか?と、読んだあと残念に思う気持ちがなぜか大きかったです。
理由はうまく言えないのですが、なんとなく思ったのは、キャラ設定や世界観設定の時点でどこか詰めが甘く惹き付けられない。
どうしてお互いにそこまで、死んでなお好きでいられるほどの想いがあったのか、メイン二人に魅力を感じなかった。そしてこの物語の基盤となる、死ぬ人が発する光が見えるという設定。それ自体も、本当にその設定必要だったかな?と、なんだか微妙な気持ちのまま物語に入り込めませんでした。

光が見えるとかいう設定もなく、最初の読み切りのみでこの物語は完結でよかったんじゃないかなぁと。彼がその後死神をしている姿を見れて、活躍していると感じるような場面もなかったですし、むしろ死神ってそんな簡単になれるの?生前の彼女といて許されるもんなんだ??と色々ツッコミたくなってしまいました。
ラストのエピローグは良かったですが、それこそ本編でやれよと言いたいお話でした…。多分本編は打ち切りになったのでしょうが、それは作者さん自体の要領の悪さだったり、力量不足だと思います。この大事なエピソードとかを早い段階でもっと本編に入れておけば、読者人気も上がったのではないでしょうか。

物語のコンセプトは良かったと思うんですが、魅力あるキャラ設定や恋愛描写、死亡予定者の光と死神との繋がりなど、大事な要素が多く、それを全部上手く活かして表現できていませんでした。読者を感動して泣かせるくらい上手い漫画を描けるようになってほしいな、と思います。
しかし変態教師が意味不明だった前作に比べれば、良いお話で心に残るものがありました。
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