昭和元禄落語心中
」のレビュー

昭和元禄落語心中

雲田はるこ

落語への恋に狂った人たちの話

ネタバレ
2016年8月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 落語という本来は人を楽しませるエンターテイメントを題材にしていながらも、人間の業や本質を描いているためストーリーとしてはかなり仄暗いものがありますが、与太郎の明るさで菊さんと小夏が救われるのもあり全体的には明るい雰囲気の作品になっています。ただ、与太郎が現れることで菊さんと小夏の止まっていた時間が動き出すため色々な展開があり、特に最終話はなるほどそうきたかと思えるような事実が明かされるため、地雷などはほとんどないという方にオススメします。でも私としてはそれを知ったことで、菊さんの色気や助六の落語への固執(情念?)に納得がいき、みよ吉さんが男への恋狂いをしたように菊さんは落語(特に助六の落語)に恋狂いしていたんだなと思いました。そんな形でのその恋の成就が成されるためBL臭が……という方もいらっしゃるようですが私は特には思いませんでした。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!