昏倒少女
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昏倒少女

安藤ゆき

心地よい世界観

2016年10月4日
『町田くんの世界』で一躍人気となった作者さんの初期短編集。

初期の短編集には作者さんの今後の期待度が如実に表れると感じます。『りぼん』で若くして一世を風靡した槙ようこ先生も、デビューの時から設定の斬新さ、ストーリーテリングの軽妙さが際立っていました。この作者さんもありきたりな短編集ではなく、既に作者特有の日常的なのに非日常的な独特の世界観を醸し出しています。

『町田くんの世界』も大好きで何度も読み返していますが、この作品も何度でも読めるし、その度に新鮮な感動があります。この作者さんの最大の魅力は登場人物の悩みや苦しみを愛を持って描いている所だと思います。その意味では『フルーツバスケット』という作品に近いですが、こちらの方が激しさがなく、良い意味で淡々としています。

現実社会で傷を負った人々を優しく癒してくれる作品です。ストーリー重視の方なら満足されるかな、と。ラブ要素はほぼ皆無ですが、ほっと癒されたい時におすすめです。
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