灼熱の足枷
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灼熱の足枷

メイシー・イエーツ/山本鹿乃子

砂塵舞う幻の国の復讐譚

2016年12月3日
シーク物、復讐物の多いハーレクインの中でも、この作品は随所に血の匂いが充満しています。血腥いです。


暴徒に故国を滅ぼされ、その遠因となった事件を引き起こしたかつての友好国・カドラの王へ復讐する事だけを糧に、奴隷のように這いつくばって生きてきた孤高の王女・サマラが、現カドラのシークへの復讐を決行するところから物語が始まります。


両親の仇であるはずの彼の気高さ・思いがけない心の広さに、サマラは否応なしに惹かれていきます。


まあこれも、ハーレクインにはよくある展開ですね。


16年も苦しんできた割には、やけにあっさり復讐心を捨てられるな、と、ちょっと違和感も感じましたが、親同士の血腥い報復の応酬に傷付き、振り回された二人だからこそ、互いを赦す事が出来たんでしょうね…それに、一番悪いのは、自分の感情の赴くままに行動して両家の争いの発端を作り、最後に娘に全てのツケを押し付けて狂い死にした、サマラのお母ちゃんだもんね。

私としては、もうちょっとサマラに復讐心をキープしてもらい、シークを振り回して欲しかった…
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