ささ夜の恋
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ささ夜の恋

吉野ルカ

今までで一番好き

ネタバレ
2016年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 陰間茶屋な舞台のお話は、他に2作品、人気高いものを読んだ事があるのですが、その中で一番良かった。
身体を売る商売が土台だからどうしても切なさとか悲恋が大きな軸となる。なんですけど、それを期待して読んじゃう所もあるんですけど、でもあんまりそれを全面に出されると逆にそんなに響かないんですよね。
身請けされる前に抱いて欲しいとか、もう想像出来ちゃうし、逆にそれを「可哀想〜」と読むのはなんか罪悪感みたいなのを感じて、なんか気持ちにストップがかかるというか。なので陰間茶屋ものは今まで苦手分野でありました。この作品は陰間茶屋のお話と現代もの短編集。陰間茶屋シリーズが前半に来るんですけど、その主人公ささらがいい。可愛い弟みたいな感じで、体をよじりながら「うひゃひゃひゃ」と笑ったり、客相手に失恋して泣いてたりとピュアな感じ。あくまで陰間茶屋のお話だしなんですけど、お涙頂戴で始まってない。自然にお話に入っていけました。
好きな人に身請けされる者、信じる事が出来なかった者。どれも短いんですけど面白い。また、後半に現代ものを持ってきて、そのどれもが面白かった。陰間茶屋でお腹いっぱいになる前に現代もので空気を変える。お話の流れ方もそうだけど、全体の流れの構成も(短編の順番も含めて)上手いと思った。
最後山田ユギさんのあとがきがありましたね。前からうっすらとは知ってましたが、あぁやっぱりと思いました。山田ユギさんも大好きな作家さん(ほとんど読んでます!)。その山田ユギさんが認めてる方なんですね。作品含め、おすすめの作家さんです。もっと描いてくれないかな〜。
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