赤い薔薇は罪つくり
」のレビュー

赤い薔薇は罪つくり

文月今日子/レイ・モーガン

取り違えのブラインドデート

2017年1月3日
テンポよく出会いから親しくなっていく日々の積み重ねが描かれ、一方で、本来その日会うべきだった相手も会ってみると悪い人たちとは言えない。
ただし、ヒロインが恋に落ちた彼の本来のデート相手のほうは、綺麗事を言わずに打算を口にするサッパリタイプ。他のHQでは悪い女として描かれかねないお金第一の、愛無き結婚をいとわない人物。
もて男系で、結婚は祖父の代で失っていた土地を取り戻す為と公言し続ける人を、本気になるわけにはいかないど、ヒロインはこらえようとするも、一度出逢ってしまった縁は、なにかと絡み、全然ほどけない。

ヒロイン辛い過去の克服は大変なのに、物語の明るいトーンと、巻き込まれている赤ちゃん問題で、彼の赤ちゃんに対する態度を通じて乗り越え始める。

文月先生が昔描いておられたふんわりタッチが、赤ちゃんを巡る騒動の描写にどこか滲み出てる気がした。

プロポーズよりずっと前の、おおらかなバレンタインデー演出が、彼マックスの自然さを感じられるシーン。
自分のことを気に入ってくれている喜びや、彼の目的ある本来の結婚相手のことを考えてしまう戸惑いなど、ヒロインがそんな微妙な立ち位置の真ん中に立たされていることを感じさせるバレンタインデーの出来事が、このストーリーの性格そのもの。

明るく楽しくこのコミカルなロマンスを読ませてもらいました。
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