将棋めし
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将棋めし

松本渚

作者の将棋愛がすごい

2017年1月31日
主人公が女性棋士でタイトルホルダー、というのは荒唐無稽までいかずとも現時点ではファンタジーに近いが、女流棋士や奨励会員では将棋界の「めし的あるある」(タイトル戦、順位戦など)が描きづらいので、ここは設定として素直に受け入れたい。
さて、「将棋めし」というタイトルではあるが、「将棋(と)めし」ではなく、めしはあくまで棋士や棋界を語るうえでの味つけ、ダシとして使われている印象。むしろ女性棋士・女流棋士問題をはじめ、作者の徹底した将棋愛がひしひしと伝わってくるので、純粋なグルメ漫画として読みたい人間や棋界にまったく興味がない層には少々肩透かし感があるかもしれない。
ひとことで言っちゃえば「作者が将棋のことを書きたくて書きたくてしょうがなくて、でもそれ単体だと連載できなさそうだからめしを絡めたのではないかしら」という作品。
ただし、将棋もめしも好きだ、というわたしはたいへんおもしろく読めました。棋士のエピソードなど小ネタの宝庫でもあるので、何度も読み返せる多角的、多面的な漫画だとおもいます。
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