ばらとシャンペン
」のレビュー

ばらとシャンペン

ベティ・ニールズ/寺館和子

薄っぺらな話でないです 彼への告白が良い

ネタバレ
2017年3月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 妹想いの姉が、仇(あだ)で返される話は結構あるけれど、つくづく、人の為を想って生きて来たのに、あんまりだと憤慨してしまう。
女のいやらしさが結構生々しい。ありそうなことでもあるのだが。

メイン二人に限らず人物たちの存在感しっかりで、家屋敷の雰囲気も土地に根を下ろした旧家ぶりが漂い、暮らしの描写の細やかさで小さなコミュニティが生き生きと伝わってくる。

ヒロインとルシアス、二人のシーンは、つかず離れつ、ベタベタ無し。彼が関係を大切にしている状況が感じ取れるし、ストーリーを進めるコマ一つ一つが場の空気を感じさせる。

とても微妙な関係をとらえて味わいがある。
正直に言えば、彼ルシアスの顔は好みとは言い切れないのに、これでいいのだと思わせるものがある。
欲を言えば、初めてのキスシーンは、他のコマより雰囲気がその二人の関係を表しきれてない気がしたが。線がそこだけあっけらかんと薄地になり、個性が瞬間消えた。

全体に、くらもちふさこ先生を思い出させる画風。

試し読みのみならず、レビューを読んで購入を決めることが多いが、実はレビュー数少ないと、そこで迷う。よく知らない作家の作品は慎重にひとこまひとこま丹念に試し読みするつもりで吟味する。日本の漫画作家は短編で腕磨きするから、失敗は少ないけれどーー。それでHQはほんとにクオリティがいろいろで、買い物に失敗したくないのだ。

他のレビューアーさんの適切なコメントが、レビューの少なさをカバーし、背中を押した。

量産出来るほど一作一作簡単に取り組んでいないと感じる出来映えで、購読に踏み切って正解だったと思った。コマの取り方、絵のインパクトが作品を盛り上げていた。
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