このレビューはネタバレを含みます▼
絵はシンプルでサクサク読めますが、内容がディープで心にグサグサ刺さる作品です。
子2人を養うため休みなく働くものの、息子から心ない言葉を浴びせられる母・とし子。親の離婚を機に荒んだ自身の境遇を恨み、ケンカに明け暮れている兄・秋介。不条理な兄たちに振り回される、孤独な主人公(弟)・春人。
栄養失調で、背中に奇妙なアザのある春人を診て医者は「30歳まで生きられないよ」と言う。
家に帰り「30-9=21」と書いた紙を見ながら「あと、21年か……長いな……」と春人は一人呟きます。
9歳の男の子が抱えた複雑な問題の果てに、希望があることを願って最後まで見届けたい。