不思議な少年
」のレビュー

不思議な少年

山下和美

8巻まで読みました

ネタバレ
2017年4月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ これは哲学書に近いので私の見解で偏ったレビューです。
不快になる人もいるかもしれません。
そういう、つい考察してしまう本であるということのみ参考にしてください。
簡単にいうと…オススメです!

人ならざる美少年が人について学び考える作品です。
彼は時を超えて様々な時代に生きる人に干渉をします。
一番近くで、時には遠くから純粋に人を試しています。
人というものに対して退屈し、あきらめ、侮蔑し、せせら嗤い、落胆する。
それでもまた興味を惹かれ、近づき、驚き、発見し、興奮し、期待する。
手を加えず傍観者である時もあります。
教え導く時もあれば、観察し学ぶ時もある。
彼の干渉を温かく感じる時もあれば、冷たく感じる時もあります。

灯台を守る村娘の話しでは私は理不尽さを強く感じました。
幸せの形について正解のような少年が現れなかったら…と思うような色々と考えてしまう作品でした。

全ての話しではありませんが主人公は決して悪戯にかき回すのではなく、基本は人の判断に委ねます。
そして時には苦しみ葛藤もします。
人に傷付き、時代に傷付き、正しいものを慈愛の心で見つめることもあります。

私達は日々記憶を反芻し、過去の自分や他人を考察して生きています。
彼もまた幾千の時の中を彷徨いながら同じように心について考えています。
彼がもし私の前に現れたら彼の心を失望させるような生き方はしたくない、そう思わせるような作品です。
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