いけない口づけ
」のレビュー

いけない口づけ

桜屋響/レベッカ・ウインターズ

恋愛感情は止められない 許されない相手に

2017年5月23日
好きという気持ちを押さえることはできない。ダメだとわかっても生身の人間だから、気持ちが動き始めてしまうとその人が存在しているということだけで気になり、出会う前の心の状態に戻れない。

互いに好意を持ってしまったら、世の聖職者はその感情とどう向き合ってきたのだろう。

人を好きになれない人が宗教を語るのも人の悩み苦しみに共感欠如となる恐れがあるし、といって、俗物はどこまで行っても心に清らかさは期待できないしで、結婚が許されない神職を進む人たちの生身の感情はどうなっているのだろう。
神に仕える身で誰かに好意を寄せることは現実あるかもだ。どう頑張っても消し去れない気持ちが恋愛感情なのであるし。

このストーリーは、彼はまだ完全にそこに身を置くことを神に誓う前。といっても、そこを目指してずっと過ごしてきた。

別荘管理のビアンカさんの態度で、このストーリーの難しさを感じた。

ヒロインはといえば、彼女は私の目にはちょっと危なっかしい。彼の弟との関係も、弟の一人相撲とするには罪作りな側面を、私なら見てしまう。画面にあるとかないとかではなく、行動が、というか。その気がないのにその気になってる人と行動する、家族のほうにハッキリいうのがかなりあとだったり。
その何となく発する親近感はお兄さんとのかかわり合いにも、そして、一家のゲストとしての位置付けや役割にも、一石投じてしまうのは明らかなのに、いいのかなとは思っても乗り込んでしまってはいるわけだから。

そもそものストーリーの前提となっていることを、ここで論じるのはこれでやめるとして、二人の葛藤はとても自然で、共感出来る。苦しくて早くここを離れアメリカに帰国しようと何度もその場を黙って出ていこうとするのも分かる気がする。

ただしこのストーリー、誰か一人を宗教界に差し出すことがほぼ決まっている家の話。跡継ぎはいずこも大変な問題なのに、この何百年も続くという名家は、男子が最低二人も必要になるというのか?
それは、難しい時期が生じないのか?、嫡子は男子だけのルール?

妻が二人以上の男子出産を強いられるとしたら、このヒロインもそのしきたりの影響を受けるというのか?
息子当人自身がもしかしたら望まないかもしれない司祭に、ヒロインも嫁げば息子はその目に遭うというのか?母になったらなら、そこすごく嫌だろう。
そのことが、驚きなのだが!?
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