聖職者希望のジョヴァンニの画策は、スーツケースに髪飾りを忍ばせるという布石から始まる。作中ジョヴァンニのセリフで「結婚するなら君みたいな人がいいと思ったんだ」これは恋する男のセリフではない。話しの合う 美術に造詣の深いガブリエーラなら信頼関係を構築し、愛を育んでいけると考えたとうかがえる。兄ルカの責任感の強さから聖職者への志しを曲げるとは考えにくい、だから自分は公爵家を守っていくと考えたのだろう。宣誓の期限が迫っていたから。しかしここで「瓢箪から駒」、ルカとガブリエーラが意識しあっているという気づき。留置所でジョヴァンニはガブリエーラのルカへの想いを確かめて、心の中でファイティングポーズを決めていたに違いない(笑)これで僕が兄に代わって聖職者を志すことが出来ると、同時に兄を解放してあげることが出来ると。そしてルカとガブリエーラはジョヴァンニの術中にはまっていく。とはいえ、本編のルカとガブリエーラの葛藤には心が震える。ルカの行動も一貫していて揺るぎがない「一目見て君をこの腕に抱きたくなった」「僕の罪まで君が負うことはない」とかとてもトキメキます。聖職者となるルカの人生を邪魔してはいけないと、彼から去るガブリエーラ。ベッドの中で耳をふさぎ、そして電車の中で「これでいい」と泣く彼女の髪をそっと撫でて慰めてあげたくなった。プロヴェーレ家500年の間にどれだけこれと同等若しくはそれ以上のドラマがあったのだろう。耐えがたきに耐えてきたからこそのプロヴェーレ家の権威、故に当主の言葉は事実上の法律となるとは、想像を絶する。