砂の炎
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砂の炎

ケイトリン・クルーズ/星合操

愛されなくても大切な人を愛し続ける

2017年5月27日
愛と信頼を高めていく二人。
親兄弟の命や絆が揺らぐ。
誰を信じたらいいのか分からない。

裏切りにより不信の中で家族を失い、家族という場を知らずに育った彼。
母に手を引かれ世界を転々とし、自立してきたヒロイン。

母からの指摘事項であったハーレム。ヒロインの彼に対する嫌悪感となった問題点は、彼の行動により晴らされていく。
彼の調査により、反対に、知らなかった事が明るみになり、信じていた人の横領を前にヒロインはどうするか。

このストーリーは、男女の愛に絞っておらず、まさに、愛とは与えること、というのを地で行ったような作り。それだけ、ロマンス成分低めで、起伏も恋愛面には起きない。そこが物足りない読者も居ることだろう。
悪役を悪役らしく仕立てあげていないが、冷静になると、許しちゃうの?と、思わなくもない。
ただし、そのために、逞しくなれた、ともいえるので、人生には無駄なものがない式な考え方なら、それはそれで、争いのない関係や修復を図る関係が、いかにもキレイ。

同一作者コンビの、「砂の檻」と、趣向は極似だが、当人は追い込まれてはおらず、自分の意思で選びとる生き方、対照的なところがある。
女性としては、こちらの方がよりパワフル。
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