のりりん
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のりりん

鬼頭莫宏

ロードバイク

2017年5月30日
世間のロードバイクブームに敏感だったのか、かなり早い時期からロードバイクの世界を先取りしてきた鬼頭莫宏氏の作品です。
クルマ至上主義の主人公が自転車至上主義の少女と出会い、少女一家に感化されていくうちにロードバイクの魅力に目覚めていくという内容ですが、面白いのは、クルマ社会の社会人として生きてきた主人公のため、クルマから見た自転車の危険性の認識や経済力があるからお金がかかるロードバイクの世界へもすんなり移行できたこと。また、主人公の仲間もお互いに感化されたり影響されたり付き合いだったり、スタンスは様々ですが、いろいろな形で自転車の世界に楽しみを見つけていくフレキシブルさをもてたこと。この辺は少年誌の登場人物では現実的に難しい経済問題がついてくるので、青年誌ならではの流れなのかなと。
あと、ほとんどの自転車万歳作品がスルーしたがる「事故」の凄惨さも真正面から描いているのは好感が持てます。
もっとも、「ぼくらの」や「なるたる」でチョイチョイとネガティブ面の演出もしてきた作者さんだけに、魅力アピールだけでなくキチンとロードバイクの暗い部分も描きたかったということでしょうか。一部では作品評価が分かれるポイントと言われていますが、個人的には大事な部分だと思い高く評価しています。
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