さようなら、と君は手を振った
」のレビュー

さようなら、と君は手を振った

木原音瀬/深井結己

哀愁。。後半はスピンオフ、2組の話。

2017年7月12日
(小説、新装版書き下ろし付)
表題作+僕がどんなに君を好きか、君は知らない+空を見上げて、両手広げて+~2。
計4タイトル+あとがき。

17歳の高校生~その息子が成人するまで、時間をかけたストーリー。

後半はスピンオフになってはいますが、最初の主人公たちのその後も垣間見れ、愛情の違いなどテーマとしてはひとつのストーリーです。

こういう、タイトルをかえて視点や時間が変わっていく複雑な展開のお話が上手な方だな~、といつも思う。

恋愛にトラウマのせいで健気でいじましい啓介が、切なく寂しかった。
ひきかえ、自己中な誠一。
まさしく表題のシーンでは、哀愁が強い映画のようなラスト!

その後に続く第2部は啓介視点の話。
幸せなはずなのに寂しい。
ハピエンなのにやっぱりどこか哀しいラスト。
その哀しさが前フリのように、スピンオフの空を見上げて~も寂しい話。

あとがきによると、本作は新装版にあたっての書き下ろしが追加。
旧版では出口のなかった2人に一応の抜け道ができたそうです。

そうはいっても1冊読み終わって、
え!?これで終わり!?
とてっきり挿絵か次の章かと思ってめくったらあとがきで、びっくりして思わずさけんじゃいましたよっ!

ラスト1ページで、暗い道に先に希望が見えそうな?
どうなんの?
みたいなエンド。
いやー、息子がかわいそう過ぎる。。

なんだかなー。。
BLファンタジー親子ものといえば、幸せラブラブ愛情家族物語が多いですが、そんな甘さはかけらもない(笑)。

現実ゲイ家族がいたらそんな幸せ1割以下だよね、と実際おおいにありえそうな寂しさに、BLは夢物語だと思い知らされた気がします。。

子育て中のお話も読みたかった~。。
息子のその後の話も読みたいし、
最初の2人の結婚生活の話も読みたかった!

作者さんらしい、人生の切なさ寂しさ哀しさが上手に書かれた読み応えのあるお話でしたが、いかんせん、もっと読みたいエピソードがありすぎる。
この話で、もう1冊書いて欲しい~(泣)。
作者さん、担当者さん、ぜひおまけ短編ではなく続刊お願いしますっ!
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!