プレイボーイの罪
」のレビュー

プレイボーイの罪

キャサリン・スぺンサー/荻丸雅子

ちゃんと過去と向き合って想いを通わせる

2017年10月8日
HQならばさもありなんのストーリーながら、やはり、荻丸先生はドラマチックに仕立ててくる。前半のヒロインの苦しみ、中盤の親子になれる喜び、彼がまがりなりにもヒロインに誠意も示してくる。お姑さんも他人サイドで物事を考えられる。ヒロインは、家族間の爆弾を心に秘めたままでも、皆が敵だったというレベルの環境ではない。
かつての若気の至り、が、ヒロインには厳しい現実の洗礼となった。プレイボーイの彼は、真実を知る前から真面目に生きる人間となっていた。そして、責任を取る取らないの前から、既に結婚する意思があった。でも、真相を知らなかった。

彼の正直な告白はとてもドラマを盛り立てた。
ヒロインの幸せを一層強固なものにしてくれた。

私はHQは完結ものを一気に読む主義だが、何回かに分けて購入する読者のなかには、よく、HQが連載式であるための宿命みたいな、読み手を引っ張って引っ張っての、挙げ句の、終わりかけの急転直下型ストーリー展開に不満を持つ人も多い。
このストーリー構成だと、全編に小出しに真相が差し込まれて、そのフラストレーションは溜まりにくいのではないか?

いろいろなことが解りかけてくる年頃の遺児たちが、ギリギリ年月をかけて親子になれるタイミングで良かった。
それにしてもHQは、両親が事故死、というのも多いなぁとは思う。
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