ゴミ屋敷とトイプードルと私
」のレビュー

ゴミ屋敷とトイプードルと私

池田ユキオ

「欲求」の捌け口

ネタバレ
2017年11月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 現代版の勧善懲悪物語らしく出来ており、
身の丈にあった生活をするのが一番だという教訓を暗喩しているのだろう。
しかし、この物語に出てくる登場人物は、ほぼ大半が悪役だ。
凄惨な転落を味わう主人公の影にかくれて見えづらくなっているが、他人の陰口を楽しむ同僚、トラブルが起きているにも関わらず最善の形で解決を図ろうとしない家族。
わめき散らす主人公に向けられた好奇の目、スマートフォンのシャッター音。
これらの裏には「ざまあみろ!」という、半ば本能のような喜びが見え隠れしている。
この「ざまあみろ!」の爽快感を味わいたい、という欲求に呑み込まれた彼らの姿は、この物語でどこか優越感に浸れる読者の私自身かもしれない、と感じた。

どうでもいい事かもしれないが、なぜ主人公は子供の頃からド金髪なんだ。オカンやらかしたんか。
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