シャトゥーン~ヒグマの森~
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シャトゥーン~ヒグマの森~

増田俊也/奥谷通教

現代風・三毛別羆襲撃事件のよう

ネタバレ
2017年11月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 基本的にどの熊も記憶力や応用力に長けていて、とても臆病だが(特にメスは)母性愛に溢れた生き物だと聴いたことがある。
この作品を読んでいて「臆病だからこそ、自身や子を守る為に執拗で獰猛になるのかも知れないな」と思いました。

昔、海外でヘリから密猟者に狙われた親子熊が、平地を必死で逃げる最中、木の繁った方向に子供たちを逃がし母熊が囮となって走る… そんな映像を目にした時、人間と変わらないかそれ以上の母性愛があるんだなと感じたのですが、

三毛別の様に「穴持たず」となった今作品の羆からすれば、子供を抱え越冬する為に必死な上に手負いにされ形振り構っていられなかっただけなのかも知れません。

人間は、とても愚かで欲深い生き物。それはきっと滅びるまで直らず続くのだろう。
決して熊が悪い・動物が悪い訳ではなく、物事の性質と本質・その全体像を見誤る事ほど怖いものはないな…と。
そして、そうするきっかけはいつも人間が身勝手に火種を作っている様に改めて思いました。
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