君に届け
」のレビュー

君に届け

椎名軽穂

良くも悪くも教科書

ネタバレ
2017年12月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 王道すぎる青春少女漫画。
登場人物たちはみな、「良い人」だが、それぞれ「癖のある性格」でもあり、そこが「お花畑すぎる痛い少女漫画」を感じさせない、説得力のある物語になっている。
が、ヒーローの風早君が頑固者なのに純粋過ぎ、優等生過ぎ、ヘタレ過ぎ、でもあり、ある意味、恋愛に無骨な日本男性の象徴のようでもある。
性的な進展は、ヒロイン側から「帰りたくない」「そうなりたい」との据え膳展開で、これは、例えばステレオタイプなイタリア人男性から見たら、情けない男性と捉えられるだろう。
高校生の無垢な青春を描きながら、性的な進展は不自然と思えるほど「蓋をしている」あたりも含め、良くも悪くも「教科書」である。
また、脇役の女子高生が、教師に淡い初恋をするのも、丁寧な描写で上手く描かれているが、傍若無人に見える20代男性教師が、大人として教師として模範解答な対応をするあたり、ご時世も感じるし、またこれも「教科書」的である。
教科書とは、正しく良質であるが、良識の押し付けでもあり、無難である。
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