このレビューはネタバレを含みます▼
二部構成です。ワンゲル=野外活動の意味だとは、山岳部と混同してました(笑)
【みえない友達】
舞台は大学の部室。平坂幸四郎と南と沖津稜先輩との会話で始まる。ここで平坂と沖津は誘拐で突然引き裂かれ、互いに探していた友達同士だとわかり感動の再会となる。
平坂が誘拐犯だと思っていた医師はゆうちゃんの祖父で、ゆうちゃんは祖父により記憶を消された上、祖父の患者で閉鎖恐怖症の沖津稜の身分を借りて生きていた。平坂は本物の沖津稜と高校時代に会っていてゆうちゃんに会わせると言われこの大学に入学した。
ゆうちゃんは父の死を知り、今まで逃げ隠れしてきた事は無意味だった?平坂と本物の沖津を巻き込み、父と平坂には取り返しのつかない事をした?祖父の真意は?と問う。本物の沖津を知る友達を探し出して沖津への恩返しをし名前も沖津本人に返してあげたい。「しろうくん(平坂)はおれのヒーローだもん」の言葉を最後に【みえない友達】の話は終わる。
二つ目の話【ワンダーフォーゲル】
舞台は南国。本物の沖津稜は飲食店でバイトをし野宿生活の中、人の心が読める小説家 伊武と出会う。
この二人のキャラと関係性がとても面白い。イブさんは物腰の柔らかい大人の男で人の心が読め鋭い反面、肝心なところは鈍感というとても面倒くさい男性。
一方の本物の沖津稜はゆうちゃんの影の存在的な人かと思えば、ゆうちゃんを溺愛するブラコン兄貴風で、裏表のない陽気で素直な人で性的にも純情な可愛らしい男性。童貞力が面白い。
互いに認め合っていてこの先もうまくいきそうな二人。閉鎖恐怖症もあの家なら平気そうだし快方に向かえばいいな。イブさんは稜の小説でも書くんですかね。
でもやっぱりやっと再会できた最初の二人の話はもっと見たかった。ゆうちゃんが祖父の後を追う事になり、さすがヒーローとの再会!しろうくんの存在の大きさがわかり嬉しい。が、祖父の愛情を掘り返すのも辛い。しろうくんがいるから大丈夫かな。恩返ししたかった稜がイブさんと出会えゆうちゃんも安心出来たかな。【みえない友達】での疑問はまだあるから釈然とせず。父の死因や小1のフ◯ラや身元隠しや記憶操作など危ない要素ばかりで怖い。知らないままの方が幸せのような。
この手の不可解さは名作か駄作かに分かれるけど、これはどうかしら?BLだし稜が主人公みたいだしアリなんでしょうね。