渾名をくれ
」のレビュー

渾名をくれ

新井煮干し子

難しい…

ネタバレ
2018年2月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ キャンペーンで購入。新井さんの作品購入は「ふしぎなともだち」以来。あの作品と比べるととても難しい、でも惹きつけられる。作者さんは信仰を描きたかったそうだ。宗教だけの話ではない、人それぞれ(まあない人も多いと思うけど)これは譲れない揺るぎないものということだろう。中学時代の同級生である、イラストレーターの天羽と、モデルのジョゼ。彼らは同居していて、そして恋人なんだけど、あまりに天羽がジョゼを愛しすぎていて、多分自分の全てはジョゼのためにあるんだろう。ジョゼはたまにそんな天羽に苛立つ。自分自身を見て、同じ目線で愛してくれと、身体や行動で訴えるが、崇拝に近い想いでいる天羽にはどうやっていいかすらもう分からないんだろうな。読んでいる方からしたら、いやいやこれ以上ない生身のぶつかり合いであるHしてるんでしょ?と言いたいのだが。ジョゼがケガして仕事休まざるを得なくなった時が、天羽にとっては一番幸せな時間だったのかもしれない。でも彼にとっては、ジョゼはジョゼで、本名の何某ではないのだ(実際本名は出てこなかった)。きっとこの2人は死が2人を分かつまで一緒にいるだろうけど、最期まで天羽は本名で呼ぶことはなく、あの部屋に入れることもないんだろうな、と漠然と思った。色々な愛の形…面白かった。
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