たそがれたかこ
」のレビュー

たそがれたかこ

入江喜和

地味、日常、でも

2018年2月26日
めっちゃ日常漫画です。
私はこの作家さんの「おかめ」、イライラして大嫌いだったんですが(笑)、
この作品は全巻読破しちゃいましたね。

何事も起こらない地味な日常生活、でもたかこさんの中では結構な大事件が次々起こります。
こうやって主人公が変わっていくのは
他の作家さんですが「その女、ジルバ」に似てる。
絵柄がヘタレ感あるところも似てる(笑)

でもこちらの方が、よりリアルです。
私はたかこさんより歳上で、今月50歳になった途端にシーモアのレビュアー表示が「50代」になってて感心したんですが(笑)、
日常の繰り返しの大変さ、母や娘の事、
元旦那との関わりなど(私も離婚してるので。今は再婚してますが)
身につまされますね。

そしてたかこさんに比べたら
私ってなんて派手なババァなんだろう!と愕然としました。
てか、年齢設定の割には主人公、老けさせ過ぎでは?

でも老けていたからこそ、新しい音楽との出会いやオミくんとの親しさがたかこさんを変えていく大きな理由になったのかも。

ライヴのシーン、昔を思い出して涙が出そうでした。
どっぷり生活に沈んでいたたかこさんが一歩踏み出す象徴として
その行動力は立派です。暴走とも言う?


多くの人が通る道、
結婚生活や子育て、老いた親、
でもその中でキラキラ光る小さな砂粒みたいなものを発見した心の動きなどは
とても頷けます。
それが眩しく輝く宝石になってゆく様子も。


私だったらオミくんには何も言いませんけどね…
率直にキモくないですか?
少女漫画でよくある「このままの関係を壊したくない!」ってやつでしょ。

若い方には実感が遠すぎて共感できないお話だとは思いますが、
アラフィフにはあるある過ぎて読むのが辛いかな?

それでも
読んだ甲斐あったな!と思える日常の微かな再生の物語でした。
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