悪女聖書
」のレビュー

悪女聖書

池田悦子/牧美也子

完全に悪女とは言えない

ネタバレ
2018年3月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昔、何度か週刊誌で断片的に読み、ストーリーが気になっていたので、今回全部読破して、ある意味スッキリしました。多くの方が言われるように、ラストは無理やり感が否めませんが、それでも絶望的な終わり方ではないのが救いです。いかにも業を背負った悪女と看板背負ってますが、生まれ育ちを考えると、そんなに悪女とは言えない気がします。主人公は、次々と謀で人を騙したり金品を巻き上げたり、人の心を利用したりしますが、いつも目的があります。いつでも彼女が攻撃、迫害されてからの反撃です。彼女自身が金儲けしたい、人を攻撃したいと思うことはなく、されたことから、どうやって切り抜けるか、縁ある人を救い出したり、代わりに取られたものを取り返したりという動機で動きます。取ったものにも執着することなく、期前よく寄付したり返したり。同僚に親切だったり、遠くの施設まで面倒を見に行ったり、普通の人でもなかなか出来ないような善行を彼女はしています。本当の善行とは、本人がそれと気がつかないで行う行為です。良くある愛憎劇に出てくるキャラの方が余程根っからの悪人だと思う。昭和に作られた話だからなのか、主人公の良いところにむしろ心が救われ、共感しました。27巻は引き伸ばし過ぎだと思うけど、ラストまで読まないともやもやが残ったと思います。
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