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今月(5月1日~5月31日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 来世は他人がいい

    小西明日翔

    染井吉乃という「器」の予感
    ネタバレ
    2026年4月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 暴力と謀略が渦巻く極道の世界を描いた『来世は他人がいい』。この物語を読み進める中で、私たちはある種のジレンマに陥ります。主人公・染井吉乃の「強さ」をどう定義すればいいのか、という問題です。
    正直に言えば、読み手である私自身、彼女を「力はないのに威勢だけはいい」「啖呵を切るだけで中身が伴っていないのでは?」と揶揄したくなる瞬間がありました。深山霧島や鳥居翔真といった「怪物」たちが振るう圧倒的な武力や知略に比べれば、彼女の抵抗はあまりに微力で無謀に見えるからです。「力の強弱」だけを尺度にするならば、吉乃はただの「無力な女の子」という枠に収まってしまうでしょう。
    でも、それではこの物語の真髄を見落としてしまいます。本作は単なる力の多寡を競う物語ではありません。「力はどう使うか、何のために使うか」という尺度に立ったとき、吉乃は誰よりも鮮烈な光を放ち始めます。
    彼女の放つ激励や剥き出しの覚悟は、まだ大衆を動かす実績にはなっていません。けれど、最も近くにいる翔真や霧島は、その「芯」の強さに隠しようのない戦慄を覚えています。暴力や恐怖に屈しない彼らがなぜ震えるのか。それは吉乃が、保身のためではなく譲れない筋や誰かのために、自らの命すら平然と盤上に置く「王の器」を覗かせるからではないでしょうか。
    その姿は、映画『サマーウォーズ』の陣内栄おばあちゃんを彷彿とさせます。栄おばあちゃんは、自ら戦う術は持たずとも、その人脈と「信じて応援する力」で人々の心を繋ぎ、絶望的な戦況を覆しました。吉乃が見せる今の覚悟も、将来彼女がその人間力で他者の力を引き出し、事態を好転させていくための巨大な布石に思えてなりません。極道の孫娘としての真の強さは、拳を振るうことではなく、その人望によって「周りが力を貸してしまう」魅力の中にこそ宿るのです。
    現在、連載は休止中ですが、彼女の内なる魅力が今後どう発掘されていくのか、期待に胸が膨らみます。吉乃という魂がどのように状況を塗り替え、その器の真価を発揮していくのか。その瞬間が、今から待ち遠しくてなりません。
  • 夜明けのポラリス

    嘉島ちあき

    ひさびさに読み返して、
    ネタバレ
    2026年4月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 嘉島ちあき先生の、すごさが染みました。
    だいたいは身体的に受け入れることについて悩むじゃないですか。そこに留まらないんですよ。心と心の距離を、真正面から向き合って描いてくださるんです。主人公は他人との心的境界が強めの設定が多いです。それも彼女の描きたいものだと思うと、なんか愛しいです。ほぐされ愛される、赦されてよいというメッセージ…救いというリビドーに溢れています。
    心理描写の技法も、ものすごくいい。ほかの作家さんより比較的ページもコマも使って、目線や手、身体の動きなんかで、丁寧に丁寧に描写してくださる。その積み重ねのおかげで、昇華の際はものすごい熱量になり、登場人物のみならず読者も熱いオーガズムを感じる。一枚絵でエロさを求めるのはこの作家さんは違います。道のりそのものがすべてオーガズム、ひいてアウフヘーベンにつながります。
    この作品が彼女の商業誌のなかでも群を抜いて素晴らしいと思います。これで燃え尽きず、次作をすでに手がけてくださっていることに感謝。嘉島ちあき先生の愛しい愛しい愛の世界を引き続きお裾分けしてほしいです。心から待っています。