このレビューはネタバレを含みます▼
朱音の家柄と父親の人柄、危機的状況にあっても度胸をもって立ち向かおうとする姿勢、家元復興の使命感と孝行の思いがしっかり確立していて、
惣右助も朱音への想いの強さや仕事の実績がキャラとして朱音と釣り合っていて、登場人物はみんな魅力的でした。
郭言葉や文のやりとり、時代的な人の動き方など、世界観も引き込まれました。
強いて言えば、伊勢谷が贈賄してたとか、中村に頼まれたツボの送り主を探すとか、「なんでそれが関係していて、その流れになってるの?」ってところの展開が早いので、理解しないと置いてかれる。
だから、考えながら読んでました。どこかで図解されたらもっと分かりやすかったかな。
利一についても、奉公人として朱音に仕える感覚には恋愛的な思いはない?けど、
永倉の再興がなくなったのに引き続き朱音に仕えるのは義理人情なのか、その辺の思いが理解できなかった。永倉との関わりが描かれてたらよかったかも知れない。
結局紫を好きだったのかも分からなかった…身分がない人と遊女は一緒になれないのかな。
いつか利一が紫を迎えに行く話が成り立つなら、外伝としてまた深掘りできるくらい切ない箇所でした。
でもそれらを差し引いてもキャラや世界観に圧倒されるので、何度も読んでしまいます。
なぜもっと早くこの作品に出会わなかったんだろう。新巻いつ出るかな?ってワクワクをリアルタイムで味わいたかった作品です。
いやーーーーー改めて、おもしろかった!余韻が残ります。