このレビューはネタバレを含みます▼
感染症を背景として扱う必然性について、納得できませんでした。
また、モノローグの文章構成にも違和感があります。一続きの文章の中で視点が頻繁に移動するため、全体的に整理されていない印象。文と文の因果関係も不自然です。このあたりは担当編集の段階で少し調整できたのではないかと思います。
特に気になったのが以下のモノローグです。
『昔から人の笑顔を見ることが大好きだった 相手が笑顔だと俺も嬉しくなるから そうした優しいコミュニケーションを好んでいたと思う』
ここで描かれている主人公の価値観に、私はあまり共感できませんでした。
「相手が笑顔になることが自分にとって嬉しい」という感情と、「それは相手にとっても優しいコミュニケーションである」という評価は、本来別のものではないでしょうか。善意から行ったことでも、受け手によって感じ方は異なります。
にもかかわらず、このモノローグでは主人公自身の認識として「優しいコミュニケーション」と結論づけられており、その価値観を読者側にも当然のものとして提示されているように感じました。
この部分で主人公の考え方に強い違和感を覚え、以降読み進めることが難しくなりました。
作品との相性が合わなかったのだと思います。