このレビューはネタバレを含みます▼
これまではエレン達パラディ島のエルディア人から見た世界を描いていましたが、マーレ側の景色から見ると世界は全く違って見えます。ガビやファルコ、そしてライナーら戦士は、残虐非道なサイコパスではなく、血の通い、歪められた思想とどうしようにも変えられない不条理な立場で生きる人間だということが分かります。彼らの状況を見ると、「仕方ない」という気持ちも理解できる。それでは一体誰が犯人なんだと言われれば、特定の一人などいません。むしろ、単一の犯人を決めつけて社会を単純化しようとする考え方こそが犯人と言えるかもしれません。そして、正義、加害者、被害者について割り切れなくなる象徴的なコマが最後の1ページなのだと思いました。
単行本1巻以上を費やして思い切った構図を組んだ作者の発想に脱帽です。