このレビューはネタバレを含みます▼
初めてBLなるものを読み、腹底から湧き上がってくる感情のままに書いております。題材が題材だけに、忌避されたり、嫌悪感を示す方もおられるでしょう。ですが、それでも描きたいのだ、言いたいのだ、伝えたいのだというリビドーを私は感じました。それこそ登場人物たちのように。こういうことがあったとかなかったとか、そういうことはどうでもいいとおもいました。いや正確にはどうでもよくない。「こういうことがあったから」描いていいとか、「なかったから」妄想だとかそういう次元の話ではないなと感じました。正直、私自身読む前は、斜に構えていたというか、よくあるお涙頂戴ものだろう、戦争や特攻という心を揺さぶられる題材を振りかざした感動ポルノの類だと思っておりました。ですが、1話を読んで違うかも、2話を読んでむむむ、6話を読み終わるころには、深く惹きつけられ呆然としている自分がおりました。戦争に対して、あるいは特攻に対して、私たちがもっている”特別”な思いとは何なのだろうか。実在の事件や出来事を題材にした作品はあまたあるのに、なぜ戦争は表現によって不謹慎だと感じやすいのだろうか。そして不謹慎なものはなぜ性描写を排除しようとするのだろうか。様々考えさせられました。この作品の意義はそこにあるのではと思いいたりこうして筆をとっております。作品に傷つく方もおられるでしょう。そして、作品に救われる方もおられるでしょう。意識の発露というのはそういうものだと思います。これは私が勝手に受け取っているメッセージです。ひとたび作者の手を離れて、市場という大海原に漕ぎ出したのなら、どのようなメッセージを受け取るかは己次第。すなわち、作者個人の属性や意図を勝手によみとり批評するのもまた不謹慎なのかもしれない。私は続きがあるならぜひまた読みたいです。