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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 魔道祖師

    墨香銅臭/鄭穎馨/千二百

    夜明けの星
    ネタバレ
    2024年12月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 私は作中の挿話、暁星塵と宋嵐、阿菁、そして薛洋たちの物語が好きです。彼らの結末はカタストロフの極みで誰ひとり救われもしないけど、
    それでも私はあの非道な薛洋は本当は暁星塵のことが好きだったのではないか、本当はずっと、暁星塵と阿菁と共に暮らしたかったのではないか、という思いがぬぐいきれません。薛洋の精神はとっくに壊れてしまっていたにしても、あの最期の瞬間にみせた彼の逡巡がいつまでも心に引っかかって仕方ないのです。彼が暁星塵や宋嵐、阿菁にした残酷な仕打ちを誰も許しはしないでしょう。大切に想う相手が出来た時、無双の剣士であってもそこに弱さが生まれるとはよく使われる警句ですが、それを未熟と切り捨てることは簡単でも、比翼の片方をもがれた瞬間のひとの心の脆さを責めることは私には出来ない。あの時薛洋は暁星塵を、宋嵐を罵り嘲りながら、自身の最後の望み(どんなに求めても訪れてくることのなかったもの、忘れてしまった思いであったとしても薛洋の無意識の領域の中にいつまでも沈んでいたもの)まで木端微塵に打ち砕いたように私には思えました。暁星塵と宋嵐の深い絆も、阿菁の暁星塵への憧憬も、薛洋が自分で踏みにじった心の欠片もそれぞれの形は違っていてもそれらを「愛情」と呼ぶのならば、薛洋は最初から自分がはみだし者であることに気が付いていたでしょう。暁星塵や宋嵐は云うに及ばず、阿菁はこれからいくらでも明るい道を歩いていくことが出来る。だって彼女は出会うべき時に大切なひとと出会うことが出来たから。自分には差し伸べられなかった手を彼女はたやすくつかんだから。だから薛洋は全てを見せたあと阿菁を殺したのかもしれません。残った自分の心の欠片の最後の一片を踏み砕くように。子供だった薛洋にもしあたたかい言葉をかけその人生を導くような人がそばにいたとしたら、彼はどんな生き方をしていただろう。そのひとが暁星塵だったとしたら…。私は薛洋に甘いかな。非道なのだけれど嫌いになれない、興味深い登場人物です。ちなみに私は暁星塵大好きです。「暁星塵」きれいな名前だなぁ…。彼は少し「天官賜福」の謝憐に似ているように思います。この挿話は長い本編の中の短いエピソードかもしれないけれど、私の心に彗星のようにいつまでも長い尾を引いて、忘れられない物語になりました。
  • 天官賜福

    墨香銅臭/鄭穎馨/日出的小太陽

    「身は無間、心は桃源」
    ネタバレ
    2023年12月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「天官賜福」を読んでいると、この世界の神様は危険なことや都合の悪いことは当たらず触らず、功徳をばらまかれたら奪い合って拾い集め、それどころか仲間の神官が命懸けで人々を救おうとするのを見ても協力するどころか非難し嘲る、ある意味とても人間的で奇妙な「神様」たちに描かれているのです。
    「半月関事件」で昔の裴宿は虐げられていた半月を助け優しく接した少年だったのに、神官として与君山に現れた時は、無残に命を落とした小螢という少女に一瞥すらありませんでした。宣姫に対する態度よりもその方に寒々とした印象を持ちました。
    「天界の神官にとって地上の人間の命など虫けら同然」と云った花城の言葉は重いです。裴宿も慕情と同じく親の問題を背負っているために、何としても自分の力で世に出たいと思っていた気持ちは理解出来なくもないし半月の云うとおり悪い人ではないにしても、彼女が妖術を修めて再会した時すでにそれを利用しようとしていた…と思われても仕方のないことかもしれません。アニメでは決戦前夜「花将軍の望みでもあったはずだ」と半月の花将軍に対する憧れの気持ちを揺さぶるようなとどめの一言を云っていましたが、そこにはその言葉で彼女は決心するだろうという確信と、一方で裴宿の花将軍への嫉妬の感情が微かに見え隠れしていたように感じられたのは思い過ごしでしょうか。花城の云う「半月が首を吊られ苦しんで死ぬ回数を何回か減らしたかったのかも」という思いが本当に裴宿の中にあったのなら、たった一人の特別な人を救い出すために全身全霊を傾けることも出来たはずなのに…。神の地位を捨てきれなかったがために彼の二百年もまた、なんと罪深く遠回りな年月であったことか…。出世と淡い恋心を天秤にかけて出世に傾かせた裴宿と、花城の殿下に対する唯一無二の誠実な恋慕だけを胸に自分の全てを賭けてのし上がって来た彼の覚悟、殿下と半月のそれぞれのやるせない思いが対比されて描かれているようでこの章は印象的でした。半月がどのような経緯で妖術を身につけたのかは謎だけれど、その心の奥には花将軍への憧憬があったに違いないし、だからこそ彼女の心までは暗闇にのみ込まれなかったのかな…。きっとそうであって欲しい…。
    「身は無間、心は桃源」 花城といい半月といい、仙楽太子の御加護侮れないです。
  • 天官賜福【タテヨミ】

    STARember/白夢社/墨香銅臭/晋江文学城

    美しい漫画に出会えた幸福✨
    ネタバレ
    2023年11月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「天官賜福」の漫画、作画が大変美しいです。半月国から帰って二人が語り合う場面で、少年時代の花城が殿下に生きる意味を切々と訴えるコマが描かれているのは、とても心に響くものがあって本当に良かったです。殿下は少年と花城を結びつけることは出来なかったけど、その子に言った言葉の一言一句はっきりと記憶にあるのですね。そのことが今の花城にとってどんなに嬉しかったことか・・・本当にこの場面は切なくも胸に迫りました。(花城の笑顔とても優しいです。あの顔は殿下にしか見せない顔ですよね!)
    漫画の郎千秋、きりっとした若者に描かれていてアニメより好きかな。虎に乗っているのも良き!です。