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今月(10月1日~10月31日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 蛍火艶夜

    amase

    命は、そこにあるだけで美しい
    ネタバレ
    2025年6月27日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ホラーもゾンビも大丈夫ですが、戦争だけは不条理と未練のお話しすぎて好きではないです。読むと怖くなるとか涙が出るとかより鬱っぽくなってしまうんです。
    たまたまこの作品の試し読みをしてしまう機会に鉢合わせ、購入しました。勝手に先を想像していい考えができないより、彼らの結末を見届けて、良い記憶として消化したい。私なりに作品鬱へ向き合おうとしました。

    橋内和中尉編は掲載の三作品の中で同じ死に向かう話でありながらそれを感じさせない、柔らかな話でした。やっぱり橋内和という人間が、抜群の才覚と人望を持っていながら、いざというときの“生”への執着が特段薄い感じがして。きっと比較として八木中尉が出てくるからだと思いますが、言い渡された瞬間に「遺しておきたくないもの」があるかないかって大きいですね。敢えて、沢山逢えた二人じゃないからこそ橋内にとっての塚本が特別な恋しさを抱くことなく、「間に合った」感じに救われました。

    一方で嫌われ者だけど脆い中身を待ち合わせた八木中尉の話はより人間味溢れる構成で、綺麗だけじゃない愛憎が響きました。外部に敵のいなかった橋内ですが、八木はきっと生涯を勘違いされたままで終わるのだろうなという感じがします。それでも男色を蔑まれ、失われて初めて気づかれるような志津摩の一つの命が“八木正蔵”という希望と未来の先にあってよかったです。

    後を追う者、残される者、下巻は共に散る者と、共に生きながらえる者、文字では相反しますが、下巻の関係性の方が救いがあるかもしれません。
    個人的に鳴子部隊編でのマエの命のあり方と、クレの存在が印象的です。きーやを見送った当時と、桜花に乗り込む際では同じ空に向かう瞬間で、活力ある表情に描き分けがされていて、マエが最期まで“光”の漢であったきーやという太陽に向かっていった感じがしてよかったです。
    武人として全うすることにこだわったきーやと冬島、最期だけ少しの我儘を通したマエ、己の信条のもと美学を貫き通すことにしたクレ、歪であれど各々が各々の目指す人生を見つけていたからこそ、飛曹長とソノの生真面目が転じた理不尽な運命が露呈するのですが。

    全てが読み終わった時に、美しい海と綺麗な空の話が見えてくるので、上巻のみではなく下巻も読むのがお勧めです。私自身を沢山救っていただきました。ありがとうございました。
  • 【単行本版】放送禁止の私生活 【電子特典付き】

    ろくろこ

    男前受けが主食の私です
    2025年6月21日
    「男前受け」と単にいっても“男前”の定義ってそれぞれであって、しかも「男前」なんて単語は目に見えない性分の部分を指す言葉な訳ですが…夏樹さん最高です^_^♡ 私からすれば男前なんてデカくて厚くて少し過干渉なくらい面倒見がよくていいんです。髪なんて短ければ短いだけいい…。そんな理想の男の子が受けなので前のめりで購入してしまいました。本番のエッチシーンが短めですが十分気持ちよさそうなご尊顔を拝むことはできますし、最初からキテレツなプレイに持ち込まれてしまうよりよかったです。
    そんなビジュアルの良さに加えて夏樹くんは「恋愛ってなに⁉️」みたいなヘタレはわわ〜系でもなく、ある程度自分の魅力は度外視というか少し鈍感な部分もあって、無骨が反抗期を迎えずに育ったみたいな男だったのでよかったです。先生、ありがとうございました。
  • 狂い鳴くのは僕の番【電子限定特典マンガ付き】

    楔ケリ

    初めて泣きました
    ネタバレ
    2025年6月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 紙媒体発売当初に購入し、どれだけ感動するドラマや映画でも普段は泣かないのですが初めてBLを前にして泣きました。今回続編を読みたかった関係で二人の成り立ちを電子版で再確認したのですが、数年ぶりに読んでみても、やっぱり感覚として「ここで感動して泣いたわ〜〜‼️」となんとなく残っているもので、私にとってそれくらい思い入れの深い作品でもあります。

    “オメガバース”は今でこそ流用されていますが所謂王道中の王道、ワンコ系α×美人系Ωの設定に、Ω嫌い/α嫌い、Ωは表面上自分がΩであることに誇りを持っているがαは自身がαであることを憎む描写があるといった設定は新しく感じられました。
    そこに互いへの劣情や愛おしく思う気持ちがどんどん上乗せされててんこ盛りの見どころがずーっと切ない中で続いていき、それが上手く纏まったときにとんでもない感動を覚えます…!

    ツンデレな美人受けがメロメロ♡みたいな展開は腐女子なら誰でも好きですが、個人的には高羽くんがすごくよかったです。可愛がってる風で可愛がられているだけというか、そんな中でも突如形勢逆転してみたり…物語を通して終始 理性的な彼だからこそ、何かに充てられたわけではない潜在的Sにメロつけます。♡
  • うみのお城【電子新装版】

    蜂煮

    独特な作風に出る繊細な描写が大好きです
    ネタバレ
    2025年6月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 以前より先生のファンです。蜂煮先生の作風だからこそ引き込まれるゴシック体が、オリジナル作品で見れる人生が嬉しいです。先生の才能を前にすると“鬼才”とはまさにこんな人のことをいうんだろうなと感じます。

    本編ですが、相変わらず人間の不気味なところを描くのがお上手な先生だからこそウミが軸となってしっかりと話が展開しておりわかりやすく面白かったです。
    ウミ目線ということもあり、ヤマは当初かなり情報の少ないキャラクターでしたが後半は山田工業からの芸能界、山田工業から見えるテレビの中の世界、と視点が変化していた点も月並みな表現ですが面白かったです。
    不器用な受けに世話焼きの攻めが魅入られていく展開は商業BLでよくありますが、本作はウミがヤマの一言で、ヤマに見合う男になっていく姿が私としてはウミのこともしっかり好きになれてよかったです。
    ウミに特有の“イタさ”はなく、変すぎるからこそ受け止めきれないヤマが、待ち合わせた物差しでは測りきれないからこそ枠に当てはめてしまって無理に評価を下さず未知に触れる感じでいてくれていた点に、読者も心のむず痒さを感じることなく読むことができました。

    私はやっぱり何年経っても先生の作品が一番好きです。