このレビューはネタバレを含みます▼
私は何年か前、中学生の頃、この作品を読みましたが、ふと昔好きだった漫画をまた読んでみたくなり、久しぶりにこの作品を読みました。あのころ、この漫画を好きだった気持ちが蘇ってきて懐かしくなりました。物語の内容が、当時、河口くんやあずさちゃんと同い年だった私の心に深く響いていたことを思い出しました。私もあずさちゃんと同じように、普通になりたい、普通であろうと頑張りながらも、小さな教室の中で自分の世界の大部分が占められていること、狭い世界に縛られていることに、生きづらさを感じていました。そんな時、この物語に出会い、一人の命を奪ってしまいながらも、2人でそのことを隠し通し、嘘をつき続けて生きていく、という生き方にその頃の私はどうしようもなく憧れを持ちました。私も、ずっと「自分はひとりぼっちだ」、「周りと違う」と感じていたので、物語の中の「世界でふたりぼっちでも良いと思えた」という言葉がとても好きでした。そんなふうに、家族含めた周りの人も騙して、嘘をつき通していく、そんな2人の生き方が私はとても好きでした。たとえ世間から見たらおかしいような、間違っても正しいとは言えないような、そんな行動をしている2人だけれど、それが彼らにとっての正義なのだと思います。一生、周りを騙して生きていく代わりに、大切な人を手に入れるということ。周りを騙してでもそれを手に入れることが2人にとっての正義なのだ。たとえ認められなくても。そんなふうに覚悟を決めて、貫いていく2人の姿が、中学生の私の心に響いたし、当時学校に生きづらさを抱えていた私に、「こんな世界、いつでも抜け出すことが出来る」と教えてくれた大切な作品です。久しぶりに読みましたが、やっぱり私はこの作品が好きです。世間が思う「正しい」と自分の中の「正しい」は違っている。そして、世間が思う正しいに押しつぶされず、自分の中の正しいを貫いていきたいと、やっぱり私は今でも思います。たとえそれが傲慢な行動だったとしても。