このレビューはネタバレを含みます▼
とにかく、この作品には感動と感謝の気持ちを抱かされた。主人公二人がお互いをわかろうとすること、そのプロセスに感動させられた。多くの作品は恋の成就とその後を描く。しかし、この作品はその成就までのプロセスに1巻まるまるを捧げて丁寧に描写している。特に、「大人になるって、誰かのことを頭を巡らせて考えることかもね」という言葉が刺さった。大人になるってにわからないし、大人ってそもそもなにかなんて誰にもわからないけど、この言葉は大人という言葉の定義の一つの面を的確に言語化していると思った。また、おじいちゃんの「男同士のことはわからない。けど、お前が大事な人のことはじいちゃんにとっても大事だ」という言葉は、昨今のLGBTQの話題にあってとても大事な考え方のように感じた。
このように、作中多様な言葉が胸に刺さり、感動した。そして、それだけでなく、こういった言語化しにくい概念をきちんと言語化し、私にとって役立つものとしてくれた本作品には感謝しかない。