このレビューはネタバレを含みます▼
最終巻を初めて読んだ時、あまりにも呆気なく、これで終わり?!と一瞬、怒りすら覚えました。
しかし、何度か読み返していくうちに、もし2人が男女の仲になってしまっていたら、
奇しくも最近メディアを騒がせている「40代有名タレント男性が女子高生に…」
この不埒なニュースと、近からずとも遠からずではないか?と思えてきたのです。
同時に、分別と優しさを併せ持つ大人(近藤店長)としては、切ないけれど、これ以外の結末は無いのだという確信に至りました。
そういえば高校時代、同級生の女の子が(あきらと近藤店長ほど年の差はありませんが)年上の大人の男性に口説かれ、いわゆる男女の関係となりました。
その男性は数年間、彼女の若い体をさんざん欲しいままにした後、あっさり捨てました。
お互いに好き合っていた恋人同士だったのだから、何も問題はないという考え方もあるでしょう。
とはいえ…結局、彼女は彼との恋愛に高校生活の大半を費やし、勉強や部活等には情熱を注がず、なし崩しのように就職しました。
あの時、交際しなければ、彼女に他の人生もあったのかもしれないと思うと、大人が若者の芽を摘む可能性など全く考えず、己の欲を優先させた…そんな彼の行いが正しい選択であったか疑問です。
先に生まれた人間として、自分より若い人を導く責任があると、誰しも考えなければならない。
自戒の念も含め、そんな深いものを、この作品は教えてくれました。
私にとっては単なる娯楽ではなく、人生の指南書のようでもあり、心洗われる名作です。