捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです@COMIC
柑奈まち/カレヤタミエ/駒田ハチ
このレビューはネタバレを含みます▼
始まりは結婚式当日に「君を愛するつもりはない」と夫に宣言される新妻、という良くあるストーリー。加えて彼女は式の一週間前に馬車の事故で前世の記憶が蘇っており、ここがゲームの世界で自分が『悪役令嬢』であると分かっているので、夫と交渉して領土を貰う、というところまでは想定内。
この話はそこからが面白いです。主人公のメルフィーナは所謂知識オタクで、普通の日本人なら「いやそんなの知らんが!?」という様々な知識を有している才女。その知識の大半はゲームをやり込みまくったことで得たものらしいのですが、読んでいる側は素直に勉強になります。
その知識で中世ヨーロッパ程度の文明・食事事情・衛生観念諸々を改革しまくっていくのが面白い。また、知識はチートと言えるかもしれませんが、彼女自身に特別な力はなく(少なくとも序盤は)あくまでも地道に堅実に領地経営をしていくところに好感が持てます。読み進めるたびに、善人でお人好しではあるけれど、貴族として、領主として、それなりに腹黒い部分もあるメルフィーナがどんどん魅力的に見えてくるのです。
(この先、まだコミカライズされていない部分の原作小説の話に少しだけ触れています)
メルフィーナの周囲にも魅力的なキャラがいっぱい。個人的にはマリーとセドリックがとても好きなので、ふたりが彼女を支えてくれるのが頼もしいです。セドリックが忠誠を誓うシーンはジーンとしました。ずっと3人で領地を発展させてくれ~!!と願わずにはいられません。
そしてここ大事なところですが、夫のアレクシスも実はそこまで悪い男ではないです。領主として誠実でとても優秀ですし、理不尽なこともしないので(最初のシーンはともかくとして)そうヘイトは溜まらない…と思います。自らの行いを省みる柔軟さもちゃんとありますし。
実はふたりの行方が気になって原作小説の続きを読んだのですが、今後も基本的に印象が良くなっていくことはあっても悪くはならないと思うので、安心して読んでください!
世界観がとてもしっかりしていて設定が相当深く作り込まれている原作。その原作をいい感じに省略しつつ、綺麗な絵で丁寧に描いてくれているので、この先も読むのが楽しみな作品です。先は長いですがゆっくり頑張ってほしい…!