このレビューはネタバレを含みます▼
蛍火で終戦を迎えた。
カップルのどちらも共に生き残ったラストは初めてだけど、思いがしっかり通じ合ったのも初めてだけど、終戦したけどもちろんハッピーエンドとはいえなくて、切ない、悲しい。そして愛しい。
最後の最後にヒソーチョに愛してると言ってもらって抱き合ってキスをしてとってもとっても幸せそうなソノ。自分の気持ちを思いを言葉で全身で愛しいソノに伝えることができてやはり幸せそうなヒソーチョ。このまま時が止まってしまえばいいのにと思った。
突然戦争は終わった、となって拍子抜けした中で仲間のフユをあんな形で失って、クレの言葉に涙がボタボタ落ちた。
あんなに頑張ったのになあ…という誰かの台詞が全てを表している。
ソノと別れた後わあわあ泣きわめくヒソーチョを見ながら、「幾億の"祈り"を生む"死"そのものに無駄があってたまるか」というクレの言葉を反芻しながら、かなうさん、タロちゃん、八木さん、しずま、わだつみの二人、鳴子部隊の面々…散っていった人、散れなかった人、残された人、みんな頑張ったのになあ、頑張って生きたのになあ、とこの作品にこれまで出てきた愛おしい人たちに思いを馳せた。
ヒソーチョもソノも、愛し合いながらいつになるかもわからない「また会おう」を胸にそれぞれの人生を歩んでいくしかなくて、20年後の鳴子部隊の再会のとき二人はいたのだろうか?どんな再会を果たしたのだろうか?と想像を巡らせては幸せな再会であってほしい、幸せに生きてほしいと願うばかり。
ヒソーチョもソノも、なんにせよ生きている、っていうのが読み手としては救いだった。
家族のように過ごしてきた大切な仲間を次々と失ってきた二人、特に自らの手で仲間の乗った桜花を落としてきたヒソーチョにとっては背負うものが想像を絶するほど重たいと思う。
それでもどうか自分を責めないで、仲間の分も生きるつもりで生き抜いてほしいと願った。
蛍火艶夜、どのお話もどのカップルも「良い…」と胸にささりました。
この作品の愛情表現以外の何ものでもないキスシーンがとても好きです。