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今月(4月1日~4月30日)
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シーモア島


投稿レビュー
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ラノベらしくなさもあるものの確かにすごい2025年2月22日えらく面白かったです。魔法が存在する異世界が舞台で、失恋し実質追放された元伯爵令嬢が主人公、美男美女の主人公とヒーローが魔物と戦う、何巻も続いていくロマンスファンタジーシリーズというのは見るからにラノベ。でも1から100まで説明する直接的な文章表現ではなく、現時点では勧善懲悪もチートも薄いシリアス(ハードボイルドなスパイスさえある)というのは、なろう系のラノベらしくないとも思う。良い見方をすれば、ラノベと一般文芸の良いとこ取り。恋愛描写に関してはしっかり全年齢向けでありながら、巻が進むにつれ「下手なティーンズラブものより色っぽく魅力的では?」とすら感じるシーンも数ヶ所ある。気になる人はぜひ読んで確かめてほしい。またこの作品で一般文芸に近いと思う所は次の3点で、1. サブキャラ達の視点や彼らとの交流を通すことで、無口で内省が偏りがちな主人公とヒーローの人物像や思考が浮かび上がる。2. 全体的に敢えてセリフやモノローグで全てを語らせず、情景描写や比喩で暗示することにより、物語に魅力的な趣や余韻が生まれる。3. 心理描写を厚くすることで作品への没入感が著しく増す。どれも最近のラノベとは真逆の傾向にある。ラノベの読者層にいると思われる、暇潰し飛ばし読み勢や国語の成績が振るわなかった人には真の面白さが伝わらない懸念がある。現在刊行されている6巻までの範囲において最高潮に盛り上がる4巻が、権威ある「このラノベがすごい!」で1位の評価を得ているのは流石。その一方で、この作品の価値を真に理解できる人はラノベの主要読者層とは多少異なるのかもしれない(私のように)。作者にとってその点で困難な事も少なくはないのだろう、とあとがきを読んで感じたものの、貴重なこの独自路線を最後まで貫いて堂々納得の完結を見せてほしいと願うばかり。