このレビューはネタバレを含みます▼
巷の悪役令嬢ものとは一線を画しています。最初の婚約破棄から始まる物語はよくあるのですが、そこからは全く違ったストーリー展開。ただの復讐話ではなく、まるで出来の良い推理小説。一体この後どうなっていくのか、真相はどうなのか、ページをめくる手がとまりません。引き込まれて一気読みしてしまいました。
特に２巻は文句なしの傑作です。人間関係が複雑に入り混じって、誰が本当の悪なのか主人公が登場人物に話を聞きながら真相に迫っていく。全てが明らかになった時、あまりの切なさに胸が苦しくなります。そして１巻とは別の話かと思いきや実は繋がっている。それも２巻から１巻へと。最後の最後でなるほど！となりました。文章の構成力がズバ抜けています。本当に面白い、未読の方には是非まとめて読んでほしいです。
１巻ですが、これも途中まではすごく面白いです。周りの悪人が坂道を転がり落ちるように破滅していく様はスッキリして溜飲が下がります。…ですが、最後がいただけない。
皇子の試し行為にはガッカリです。皇子はヒロインを幸せにすると誓って国につれていったのではないのか？なのに気持ちが知りたいから賭けにでた？一ヶ月も放置？誠意の欠片も感じられずありえない。
あと妹の幸福描写もいりません。怪我をして少し反省したからってそれで全てご破算になって穏やかに暮らす？婚約者を奪った挙句姉の訃報に清々したと高笑いしていた女が？そこは王子同様破滅するべきでしょう。
そしてヒロイン、髪を切り男装までして晴れやかに宮殿に乗り込むとは一体？あの儚げな令嬢から一転イメチェンしすぎです。
最後の章は本当に蛇足。読後感が悪くモヤモヤがおさまらず途中まで面白かっただけに残念です。
それと他の方もレビューで書いていましたが挿絵が拙すぎです。小説の挿絵って結構重要だと思うのですけど、キャラが皆中学生くらいにしか見えず画力不足が否めません。
全体的には面白い！と言えるのですけど１巻はやはり少しマイナスです。
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