キキさん

正直言って主人公は人間できてるとは言い難い。自己中っていうより、精神的に未熟で、他者への配慮なんてする余裕はない！って感じ。まあ自己中なのは確かだけど、未熟さゆえって印象を受けました、わたしは。自分に必死すぎてまわりを配慮する余裕なんか全然ないし、不安定な自分を守るのに必死でトゲトゲしい、永遠の思春期でもやってんのかという感じの主人公。わたしは人間らしい子ほど好きです。だから、彼がぐちゃぐちゃになりながら一歩一歩進んでいく過程を眺めるの、楽しいです。

買って後悔しませんでした。
書籍化されるにあたって、さらに洗練されており、ウェブ版からの読者も楽しめる作りになっていると思います。
まあ、読んでいて辛い場面もあるお話なので、二度も三度も苦しくなりたくないんじゃい！という感じもあるのですが、もちろんとても面白い話でもあるので、己のメンタル衛生状況と相談しつつ、未読の方もウェブ版で知っている方もぜひ手に取ってみてほしいです。

これ以降は書籍版は未読の部分もある内容についてです。まず、話は面白いし、キャラクターも魅力的だし、なにより構成厨（わたし）もニッコリの素晴らしい話構成になっていて、「うわ～！ うま～！」という物語の順番、描き方になっています。
一方、残酷な（特に精神に対して）表現、展開も容赦なく訪れますので、主人公が辛い目にあったり、苦境に立たされることを苦手とする方には合わないと思われます。
しかし、ただただ辛くて可哀想でどうしようもないというわけではなく、主人公やその他の個々のキャラクターたちは、それぞれの方法で、それぞれ力強く生きていますので、ただただ湿っぽいというわけではありません。

よし、読んでみるか！という元気が湧いた時にぜひ勢いのまま読み切ることをおすすめします。