このレビューはネタバレを含みます▼
広告からつられ、一気読みしました。恋愛だけでなく国取りあり、駆け引きあり歴史物らしい要素がテンポよく続きGW中楽しめました。
…が、ラスト。嫌いな「読者に解釈を委ねる系」で終わりモヤモヤが半端ない。ベタに読めば「死後の世界で2人は再会しました」なんだろうけど、それだと女王の身体が消えた理由がどうも釈然としない。
青徹の旅路シーンなどをパラパラと見返してみて感じたのは、2人は現世で生きて再会したんじゃないか、と。薄星の影がしっかり描かれていたり、荷造りや嫉妬、耳飾りを光らせて春琴に気付かせたりする点が死者の割には生々しく感じたから。
2巻の冒頭にある「あの世とこの世の境にある高い山」に咲くという千年の花。瀕死となったことで薄星はこの山にたどり着き花の力で命を取り戻す。一方、女王は死期を悟り「千年の花」のお触れを発して蛇波流にメッセージを送る。女王の最後の希いに叶える方法として用意されたのが幻覚作用のある麻酔薬?で、体力が衰えた身体は昏睡状態になり命を落としかける。(春琴は女王を眠らせることで後継者選びへの圧力をかけた?=女王のまま死ぬことはなくなる)
女王は死後の世界で薄星に会えると信じて偽の花をあえて服用したが、国造りの使命を全うしたこと、死に掛けることを引き金に、生きた薄星が時間を超えて女王の下にやってくる。花びらが触れて女王が若返ったのは、手紙にあった「一緒に連れていった女の子」が「器」に戻ったから。あとは描かれた通り2人は抱き合い、自分たちの足で空っぽの部屋から出ていったー。「ありえないことがある」というメッセージから自分はこう考えました。
「千年の花」は実在せず、思いの結晶の比喩という考えもありますが、作中何度も願った2人だからこそ千年の花は本当に咲き、青徹や光たちとは違った道が開けたのではないかと思います。
原作者の次作は中世ヨーロッパが舞台とのこと。14巻で亜姫が西方に興味を示しており、2人の旅先になったとしたら…。2人の子孫やゆかりを匂わせる人物が登場するかもしれません。そう願います。モヤモヤを晴らしてほしい。