このレビューはネタバレを含みます▼
登場人物の物腰が落ち着いていて、全体的に色気のある、とっても雰囲気のある物語でした!
先生は幼い頃に母親に捨てられたと思った記憶がトラウマとなり、自分が傷つかないよう、何事にも深入りしない生き方に慣れてきた人として描かれていますが、、、おそらく不倫して家を出て行ったであろう母親の立場に立ってみると、背中で泣きながら自分を呼び続ける息子に、振り返って返事をすることなど到底出来なかったと思う。母親は去っていく後ろ姿しか描かれませんが、きっと罪悪感で涙が出て振り返ることなんてできなかっただろうに。。。
先生は、思い通りにならなかったり、心に入り込んでくる薫に戸惑う一方、母親に満たされなかった愛情を薫に求めるようになる所は、なんだか子供っぽいなぁと思いましたが、そんな先生に不器用ながらも真っ直ぐに向き合い、理解しようとし、愛情を伝える薫が素敵でした。
母親同様、実は心に傷を抱えた甘えん坊な先生が、薫に救われるところまでだけではなく、さらに母親を理解して親子の心のすれ違いが解消されるところまでが描かれると、もっと素敵だった。