傍観者の恋【初回限定ペーパー付】【電子限定特典付】
吉田了/ナツ/あき
このレビューはネタバレを含みます▼
「愛」には色んな形がある。
「恋愛」「友愛」以外にも、家族愛、博愛、慈愛、熱愛、純愛………
それらを上手くキャラクターに落とし込み、説明過多にならずに描いてくれた作品だったと思う。
原作未読、深読みが好きなので、解釈違いもあるかもしれないが、個人的にはメインの3人以外のサブキャラにもレイチェルからノアへの気持ちと同じくらいの激重感情を感じるフシがちょくちょくあって、個人的にはその意味深な表情や仕草に嗅覚が刺激されて萌えた。
私としては、無粋な考察かもしれないが、タイトルの「傍観者」とはアリシアの事なのでは無いのかと感じている。
アリシアのレイチェルへの感情は、さいごまで「親友」としての愛情として描かれていたが、本当にそうだったのだろうか?
レイチェルが恋心をひた隠す生々しい描写をあれだけ丁寧に描いたことも何か意味があったように感じられ、それに対するノアのアンサーも追々語られることになるが、アリシアの気持ちだけは最後の手紙で語られるのみである。そこでも語られなかったアリシアの真意は?隠し通した何かがあったように思う。
個人的にはレイチェルとノアの想いが通じた瞬間、主役がアリシアに入れ替わったように思えたのだ。
更にもう1人「傍観者」がいるとすれば、ノアの兄オースティンだ。彼もまた、作中何か大きな感情を燻らせている人間のように思えてならない。
彼の目線、彼の表情に隠された真意は一切語られずに終わるが、個人的に「義兄さん」とレイチェルに呼ばれた瞬間のオースティンの一瞬の表情には何かがある様な気がしている。
この作品の真に面白いところは、「誰」が「誰の気持ち」に「どこまで」気付いているのか、最後まで分からない所だ。
本当の傍観者とは誰か。
皆間違いなくいい人だし、切なく美しい物語ではあるのだが、そんな中にも人間の綺麗なだけではない心理描写が非常に痛々しく描かれている。
私にはこの物語が誰の恋心を描いたものなのか、真の傍観者がいる気がしてならないのである。