このレビューはネタバレを含みます▼
読み応えのある一冊でした。
語さんの本を購入したのは5冊目ですが(目指せ全冊制覇!)、同人誌時代からのファンで、いまでもGO Minorsは、ゴリ×三の最高峰だと思っています。
万人受けする作家さんではないと思いますが、独自の絵柄感性構図セリフまわし全てが好きなので、これはいや、という作品に対する好ききらいはないです。
ただこのなかで特によかったのは、「色は匂へど」と
「マイビューティフルライフ」。
「何処へも帰らない」の続編を読めるとは思わなかった。古い日本家屋、心に埋められない痛みを抱える男、純粋で発達の遅れた銀髪の美少年、谷崎潤一郎の世界だなあと思いながら拝読しました。
小田桐さんの裕倫(名前いいな)への愛情が、愛玩としてでなく、人里離れた古民家、養子縁組など、彼の将来を見据えた設計であるのが響きます。
POPな面だけでなく、「湯の町エレジー」のような哀しさの切り口も語さん、秀逸だと思います。
「マイビューティフルライフ」30過ぎのトラック野郎ふたりの15年に亘るラブストーリー。こゆの、めっちゃ好き。きれいなばかりでなく、男のホモセクシュアルってこういうものだと思う。
語さんの作品は、自分にとってはブルースを聴いているよう。
乾いた血と、汗と、風に舞う埃、泥臭さを感じる。
StonesやRCを聴いている気分になる。
一度読むと、聴くと、癖になる。
できることなら、ずっと描きつづけてほしい作家さんです。出会えてよかった。