サードバージン~43歳、今から恋していいですか?~【単行本版】
及川由美
このレビューはネタバレを含みます▼
感想と共に分析ですが項目ごとにまとめておきます。批評のようですが悪しからず。まだ二話しか読んでおらずストーリーの流れを正しく把握しているわけではないため、人物描写に焦点を置いてまとめます。書ききれないので一部だけ。続きは単話版の方に書き残しておきます。
1. 描写自体は淡々としており著者の冷静な人間観察や内面分析がベースにあるような生々しさと冷静さを感じます。
人の醜い部分や、綺麗な部分を同列な価値として扱っているようにも見えます。おかげで漫画でありながら、どこか文学のような奥ゆかしさを感じることができました。しかしやはり漫画的なキャッチーさやインパクトベースのリアクション(白目や青ざめ、デフォルメ調の人物など)が作品本来の深みを透明化させてしまっているようにも感じます。漫画である以上はエンタメ描写との折り合いは必須でしょうが、著者の深い人間観察が読者に伝わらないのはなんだか勿体無いです。絵や線の整いは置いておいても、著者の演出する曖昧な表情や行動描写などを見てみたいです。はっきり表現しても極端になってしまい、氷山の一角のように一部分しか伝えられなくなってしまうような気がします。いちファンとしては悔しさを覚えてしまいます。
2.キャラクターの作り込みは体感のこもった深みがあるようで、かなり感覚を先行させて動かしているようにも感じます。
深い共感は得られますし、現実にあり得るような人物造形は読者の自己投影を誘導して作品にのめり込むために一役買っています。しかしながら大きな衝撃や決断、迷いだけを描いてもキャラの根底まで読み取る根拠としては材料不足のようにも見受けられます。もっと小さなものとして、何に喜び、怒り、哀しみ、楽しむのか、その根源の軸が固まっているのかが気になります。もしそうだとしたら、大きなイベントを起こさずともキャラクターの深みを演出することは可能だと思います。全てを理屈にする必要はないですが、このキャラの軸(信念やトラウマ、目的など)が言葉として伝わってくるような一本筋が欲しいところです。
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