わが美しきヴィクター【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
鹿島こたる
このレビューはネタバレを含みます▼
出会いました。性癖をこじ開けられました。
ドラマティックで鮮烈な一冊。モラルや常識なんて置き去りにした耽美な2人に飲み込まれました。画力に裏付けられた濃厚な性描写、そしてそれだけに終わらないストーリー展開。こんなCPに出会ってしまって、もうそこらへんのBLでは満足できなくなるかもしれません。
受けのブラッドは常人には相手が出来ない程尊大で理不尽な美しき君主。その傍若無人さに目を引かれますが、攻めであるヴィクターも十二分に歪。生きる意味も己の身体の所有もブラッドに明け渡して、恋とか愛では到底語り尽くせない、激情と呼べる程の執着です。
そのヴィクターに執着され、抱かれれば獣のように追い立てられ(行為中のヴィクターの目や息遣い、目眩がするほど刺さります)、気がつけば尊大な君主のままでありながらヴィクター無しでは生きられなくなったブラッド…
強烈すぎる新たな性癖を開拓されてしまったので、咽び泣きながら喜びの舞でも踊りたい気分です(大錯乱)
完結作品ではありますが地に臥しながら続きを待ちたいと思います。
破れ鍋に綴じ蓋と表現されているレビューがありましたが、これまさに。