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今月(5月1日~5月31日)
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シーモア島


投稿レビュー
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永遠の未完、永遠に残る作品2024年6月10日女性向けの作品は久しく読んでいなかったのですが、ニュースで芦原さんに起こった悲劇を知り、作り手がそうまでして守りたかった作品とはどういう物語なのだろう、と興味を持ち、拝読しました(不純な動機ですみません…)
とても面白く、素晴らしい作品でした。永遠に未完の作品となってしまったことが大変悔やまれます。
全てのシーンをとても丁寧に真摯に心を込めて描かれていることが読んでいて伝わってくるので、きっと芦原さんも最後までこの作品を描き切りたいと思っていたはずです。
1巻から読み返しては、ラストには笙野のために踊る田中さんのシーンが絶対あったはず、などと妄想しながら次巻が読めない悲しさを紛らわせています。
テレビ局と出版社が発表した調査報告書には「原作者がドラマ版のキャラブレを気にしていた」旨が記されていましたが、「セクシー田中さん」というこの作品は、各キャラクターがとても重要な役割を担っています。
ひとりひとりは決して明るいとは言い切れない性格であるのに、他の人物と関わり合っていくことでコミカルな面が見えたり、それぞれの価値観が互いに影響を与えあって少しずつ前向きに変化していく様がこの作品の見どころです。だからキャラブレが絶対にあってはならなかったんです。
この人物はこういう家庭で育って、だからこういう価値観があって、だからこういう発言をして…、と全てが必然性で繋がっているので、少しでも異物が入り込むとキャラクターが崩壊してしまうんです。
大切な我が子のようなキャラクターたちが毎回バラバラに切り刻まれている脚本を読まされた芦原さんは、とてもお辛かったろうと思います。
メンタルがボロボロであったはずなのに作品をなんとかここまで描いた芦原さんは最後まで本当の創作者でした。
先生が生み、育て、守ろうとしたこの作品が多くの人に読まれ続けることを願います。 -
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良い話だけど面白味は2011年2月5日「付き合ってるけどタイプが全然違う相手なので会話がもたず、気まずくならない様にすぐエッチしちゃう」カップルの話なので全編エロシーンは多目です。
というか主人公が内心「気まずいな…」と思ってるか、ヤってるかのどっちかしかありません。
これだけ読むとドエロ漫画を想像しますが、エロが淡白だからか全くエロくありません。
エロシーンもキスシーンもパッと見、同じに見えるくらいの爽やかさです。(それはそれでどうなんだ)
話の起伏は特になく、最初から最後まで表面的には特に何も起こりませんが、精神面で変化が起きて最後はハッピーエンド。
「良かったね。エエ話や」と少しじーんときたりします。
個人的には攻めが泣いちゃうとこが可愛くて良かったなぁ。
「お前、本当は受けだろ」というツッコミは敢えて胸の中にしまっておきます。 -
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深くて濃い人間ドラマ2009年11月18日BLという一言では片付けられない作品。エロも何も無くて良いから、とにかくこの2人には幸せになって欲しい……!とここまで心から願ったのは初めて。正に願い叶えたまえ。読んでいて途中、堪らなく涙が溢れます。痛々しいまでに自分を貫こうとする主人公達の必死な姿は、涙無しに絶対見られません。そして脇役達も凄く良い味を出してる。敵対しているヤクザの親父なんかは、深見さんレ○プのシーンで「何て事するんだこの親父ィィイ」と怒り狂ったものですが、その後深見さんに本気だった事が分かり急に親父がいい人に見え始めたり。表題作とは別の短編も負けず劣らずかなり良い作品です。
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