トモコさん

テンポよく話が展開していくのは良かったです。でも、いくらオメガバっていう、ありえない設定でも、その中にある程度リアリティがないと感情移入できないです。オメガの子、健気でいい子だけど、それだけというか、薄い。分かりやすい悪役出てきたり、トラウマ的なやつもなんか軽い。全てはロマンチックな雰囲気引き立てるための安い設定に感じられました。キャラも内容も、ありがちで陳腐な雰囲気で、そこまで楽しめなかったです。

絵の美しさ、あまりない設定に期待したけど、それくらいだったな。主人公二人のキャラが表面的というか、つまらなくて、感情移入できないままでした。キャラの掘り下げがなく、二人の駆け引きとエロに終始してる感じ。なのでエロも葛藤も心に響かず…、２００ページあまりが長かったです。

韓流なのでしょうか、やっぱりすごいです。韓国ドラマはあまりみないけど、韓国のドラマファンが多いの、分かる。この作品も、エンタメに徹しながら、恋をする人の心情をしっかり描いています。無自覚に魔性な光くんをめぐって、理知的で冷静な先輩がこんなになってしまうの〜（喜）とか、それぞれが未練を断ち切ったようでなお残る心の揺れとか…。淳史も先輩も、愛する人のためなら去り際を心得ようとするイイ男で、人の心を捕らえる魅力を分かってる作者さんなのだなと思いました。でもやっぱり、口下手でうまく話せないけど、事実を撮りに行くんだという光くんの使命感を理解している先輩に、光くんが惹かれていくのは、当然のことなのだろうな。などと思いながら、何度も読み返しています。

神田くんが可愛すぎる！BＬに限らず、魅力的な登場人物って、描くのが難しいと思うのですが、神田くんは良い!素晴らしい!健気で、でも自己憐憫に浸らない、そんな神田くんのこと、当然好きになっちゃうよね～。なんで好きになったのか、登場人物が魅力的じゃないゆえに、よく分からない漫画もそこそこ世にはありますが、これはよく分かる。二人の幸せを願わずにはいられません。

コミカライズ版を読んで、すごーく惹き付けられたけど物足りなかったのでこちらも買ってみました。結果、素晴らしかった！満たされました。村上が躓いたままの過去とどう向き合うのか、未来をどう切り開くのかも丁寧に描かれています。そこに常にいてくれた、受の宇野くんの存在感と魅力が、終盤近くから強く輝き始めます。底抜けに自分を受容してくれる彼を、愛さないわけない！究極の受容は、実は最大の攻めなのかなーなんて、しみじみ感じました。ふわふわ、幸せな話ばかり読んできた私には、ズシンと何か変えられたような、素晴らしい作品でした。