このレビューはネタバレを含みます▼
私がこの作品をふと思い出して購入し読んだ理由は、自分の父親をほんとに何の前触れもなく突然亡くしてしまって、自分の中にある色んなことを誰にも伝えられなかったから。不仲の母親に伝えても母親は拒絶してきた。それを慰めたくて読んだ。だいぶ前にTwitterで読んだから。
そして結果どうだったかと言えば、電車の中でずっと泣いていた。隣席の人がどんな顔していたかは知らないけど、自分と同じ立場の人が世の中には沢山いるとひたすら泣いていた。
そんな中で印象に残っているのは、故人の思い出が綺麗な部分ばかり残っていってしまうという部分。まさしく私も同じだから。嫌な思い出や辛い思い出が必ずあって、嫌いだって感情や関わりたくないって感情が故人に対して必ずあった筈なのに、それが全て削ぎ落とされていく。誰かを失う、二度と今世で会えないというのはそういうことなんだと教えられた。
汚いものや醜いものを死は全て持って行ってしまうのだなと。
それから、私にもシイちゃんみたいな人がいればいいのになあと読後思っていた。シイちゃんが居ただけマリコは幸せ。世の中の大多数の人達にはシイちゃんみたいな人は居ないから。
あと、クリント・イーストウッドが主演して映画化していそうな読み切りも、本編の沈んだ静かな気持ちを明るく背中を押してくれるようで好きだった。