nobuoさんがつけた評価
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これは今まで読んできた暮田先生の作品の中でも一番好きです。オマケでこのお話の元になった同人誌まで収録されていて至れり尽くせりの内容でした。実の兄弟で恋に落ちるなんて全く理解できないけれど、それでも兄弟モノBL大好きな私。中には感情移入しづらい作品もあるけれど、こちらは本当に読者に親切と言うか、分かりやすくて没入しやすかったです。長い間先生の中で温められてきたお話なだけあって、画面の隅々まで無駄がなく、必要な要素がギュッと詰め込まれていて、違和感とか感じずに最後まで2人の世界を堪能できました。
印象的だったのはオミの情緒が常に不安定で、ちょっとしたきっかけで均衡を崩して、幼い顔が垣間見られるところでした。毒親達から兄を守るのだと、年齢以上に背伸びして、常に気を張って、得意でもない勉強を頑張り、家事も兄の世話もして、そりゃユキ以外の人間に刺々しい対応にもなるよなぁって思いました。終盤、ユキが倒れた時、自分を責めて泣いているシーンは本当に可哀そうで、「あんた、十分頑張ってるよ」って私まで泣きながら読んでました。ここはまた、ヤマの神対応が光るシーンでもありました。
これからはオミに気づかれないように、記憶が戻ったユキが弟のフォローをしてくれるんじゃないかな。想いが通じ合って少し落ち着いたオミだけど、色んな意味で能力の限界というか、ここから本当の2人の幸せな世界へ持っていくには、ユキの頭脳が必要なのではないかと思われます。ノリちゃんやヤマという味方もいるし、大丈夫!
「そばかすお饅頭なチビ臣」と作者様があとがきに書かれているけれど、普段どんなに虚勢を張っていても、お兄ちゃんの前では臣の内面はこのチビ臣のままな気がします。誰もそこに突っ込まないくらい自然に「にーに」って呼べちゃうくらいですし。この兄弟の間だけで成長していない部分が見受けられるところに、ひどく萌えました。(閉じる)
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