まるみんさんがつけた評価
一人で母を看取った大学生が、遺言に従い母の死を友人に伝える旅に出るお話。
母が仕掛けた遺言による、母...(続きを見る)
一人で母を看取った大学生が、遺言に従い母の死を友人に伝える旅に出るお話。
母が仕掛けた遺言による、母の人生を辿る旅。目的地に着き、母の友人に会うと、また次の手紙を渡される。そんな物語の仕掛けが面白く、斬新かつロマンティックだと思いました。海外慣れしていない大空が、兄や旅先で出会った人たちの様々な生き方に触れ、見地を広げていく。自分の知らない家族の一面に戸惑ったり、子供だからと教えてもらえなかった真実を知りやさぐれたりしますが、強くたくましく成長する姿に世界を広げてあげたいと願う母の愛を感じました。
ただ、母や兄の家族愛はたくさん感じられましたが、父だけはどうにも理解出来ませんでした。再婚は祝って欲しいけど、母とのことは話し合いたくないという態度には疑問しかありません。離婚の原因については語られていませんが、父の配慮不足を感じるし、いつでも思っていることを相手に言わせようとする臆病さに少しイライラしてしまいました。父との和解が旅の最後だったので、何となく最後はスッキリしない気持ちになりましたが、母の懐の深さや優しさはたっぷり感じられたと思います。この作品はメールやネットが普及している今の時代に、直接会いに行ったり、直筆の手紙を書いたりするアナログの良さも思い出させてくれました。素敵な旅をありがとうございました。(閉じる)
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