romance2さんがつけた評価
出会うはずもない二人が出会って恋に落ちる、その人は悪い人なのよ、と心で思いながら愛してしまう。
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出会うはずもない二人が出会って恋に落ちる、その人は悪い人なのよ、と心で思いながら愛してしまう。
そんな恋を描き、悪い人なのだとの認識はいつしか自分を踏みとどまらせるブレーキとしてヒロインの心に現れ出なくなっていく。
このストーリーは、相手が何をしている人なのか、もしかしたらとんでもない悪人の顔を持っていたとしても、そんな人を愛することができるか、という問いを投げかけてくる話だ。
彼の出した交換条件を飲むのも、きっかけとなった友人のめちゃくちゃな頼み事も、そして、友人のキャラの天然っぷり(?)も、舞台装置。あくまでもその経緯あったればこその、ヒロインの別世界体験であることを、示すもの。そんなところへのこのこ行ってしまって、そして、何をして稼いでいるのかわからないような男性のホームベースで、傾く心は止まらなくて。その過ごした環境の別世界ぶりに物語はHQらしさを振り撒いて、ある日、この魔王の世界を後にすることに。彼への愛を自覚してからのその突然の出来事に、ヒロインは立ち直れない。それほどに愛してしまっていた。
このストーリーは、そんなになるほどまでの存在に、出会ってしまったお話。どんなきっかけでも、相手が誰であろうとも、落ちるときは落ちる、ということを、HQ的な世界でロマンチックに展開して、真相は思い切り後回し。登場人物のほとんどがリアルな存在理由を話の進行上必要とされていない。二人のロマンスを引き立てる為だけにいるようなもの。二人の関係の進化をただ楽しめればそれでいい、そんな感じだ。
夏先生の描かれる頁はどれもが、描き込まれたという表現がぴったりの、隅々まで気を配った緻密なコマばかりで、黒色が確かな存在感を出している。
ロマンチックなシーンで二人の接触が何故かどこか立体的な感触を覚えてしまう。
ゴージャスな絵柄を必要とされるシーンでHQ漫画化に当たる先生の絵が力のないことがたまにあり、がっかりすることがあるが、夏先生作品には、期待以上の華があって、見て楽しい。オーラがあって、読み手のこちらにアピールしてくる頼もしい絵が当たり前のように紡ぎ出されている。タッチの太い線に迷いがなく、プロフェッショナルな描き手だなと、感じ入ってしまうのだ。
現実感のない物語構成である分、突然のお姫様抱っことか、甘い台詞のシーンとか、絵を描ける先生の舞台美術を味わう場だ。
誤字はやめて欲しい。(閉じる)
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